二つの「ブエノスアイレスの春」

気が付けば二か月こっちの日記を書いていませんでした。

今から丁度一年ほど前、こんな記事を書きました。

http://d.hatena.ne.jp/kurosakiion/20111009
2011年10月09日 アストル・ピアソラ

この日記を要約すると、「ピアソラってスケーターで滑る人多いよね!」「でもタンゴになってる人って稀じゃね!?」「でもバトルの「アディオス・ノニーノ」とかタンゴじゃなくてもありだよね!」「いろいろ言ったけど、私はセルゲイ・ヴォロノフピアソラに一票入れるよ!」でした。ざっくり言うと。

で。

今回、カーニバル・オン・アイス2012で、大ちゃんが滑ったのは「ブエノスアイレスの春」。四季のうち一番最後に作曲されたやつです。
2010−2011シーズンのフリーも「春」でしたが、このフリーの振り付け師はパスカーレ・カメレンゴ。今回のエキシビションナンバーの振り付け師は、宮本賢二さん。
この、前のカメレンゴ振り付けの「春」もよかったんですけど、ミヤケン振り付けのエキシビの「春」はまぁステキ!


昨日のカーニバル・オン・アイスでの演技。
これいいですね! 滑りに伸縮性がある感じがして! 大ちゃんのこれは「タンゴ」でしょう。
ピアソラは必ずしも「タンゴ」にしなければならない、ということはないと前の日記で書きましたが、「タンゴ」なんだか「タンゴじゃない」んだか、中途半端なのが一番よくないですよ。それはピアソラを扱うんだったらどんなジャンルでも同じことが言えるのではないかと思います。(ちなみにセルゲイ・ヴォロノフ君のは、本人が「タンゴ」って言ってるけど私は「タンゴ」として見ていないので、アリです)
大ちゃんのこれは「タンゴ」です! 前のより色っぽいですね。


前も紹介しましたが、こちらがコンペ用だった「春」。四大陸での演技。


私はエキシ用の「春」がかなり好きなんですけれど、それは競技用とは理由が違う気がしています。競技用は大ちゃんの多彩なステップの魅力をより堪能できるからやっぱり好きで、ショーの「春」はタンゴの持つ「うねり」が大ちゃんのねっとりしたスケーティングに合っているあの感じを味わえるのだと思います。
ただ、どちらが「よりタンゴになって」「より色気を増しているのか」と言ったら、それはショー用の「ブエノスアイレスの春」なのかなぁと思います。演技にゆとりがある分、より一層増しているというか。それでいてレベルが落ちていないんですよね。


ただ、この二つの「ブエノスアイレスの春」を見ていると、競技用とショー用のプログラムの性質の違い、みたいなのが見えてきます。競技用の春であれだけステップを踏んでいたのは、大ちゃんがその能力があってかつレベルをとれるものでなければ点が出ないから。確かこの「春」のステップはレベル4出したことがあるはず。
こっちでレベルをとる分、ショー用の春はゆとりが出た感じなのかな?


個人的に思うに、スケートでも音楽でも「ブエノスアイレスの春」は、四季の中で日本人が表現しにくい曲だと思います。「秋」はわかりやすいですし、「冬」のちょっと寒い感じの曲調はなんか性質に合ってそうだし。(すみません、「夏」はあんまり聞いたことがないので省きます)
だから、「春」をここまでタンゴとして踊りこなせる大ちゃんは、すごい。
大ちゃん、ミヤケン、カメ先生、お見事!


これが私の理想の「春」です!!