劇場版「PSYCHO−PASS」


遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
さて。新年の挨拶終了しまして、

劇場版「PSYCHO−PASS」見てきましたー!場所は池袋シネマサンシャイン。昼間の回だったので結構人多かったですねぇ。

映画版に関する詳しい概要は→http://eiga.com/movie/80163/
ちなみに小説版の私の感想は→http://d.hatena.ne.jp/kurosakiion/

映画版の導入部を芋づる式に書くと、「シビュラを東南アジアに輸出するよ!」→「でもその東南アジアからテロリストが密入国してきたよ!」→「そのテロリストの裏にいたのがやつだったよ!」→「朱ちゃん、海外出張」
……これだけ抑えていれば話の掴みはオッケーです。
そうそう、映画版の前に、1期新編集版(現在はGyao!でみられる模様)→2期とテレビシリーズが続いていたのですが、2期、2期、2期ねぇ……。うん。
まず、サイコパスというシリーズについて。1期と映画版、そして2期では脚本家とシリーズ構成が違います。
1期と劇場版はシリーズ構成は虚淵玄、脚本は虚淵玄深見真の共同脚本。
2期はシリーズ構成が冲方丁、脚本は熊谷純。
個人的な意見ですが、テレビシリーズの1期と2期の完璧な違いっていうのは、3つあります。
1つは格闘シーン。2期は朱ちゃんが主人公なのであんまりないのは分かります。ただ、1期での絞噛さんと槙島の空気を切り裂くような鋭い格闘シーンを見たあとだと、若干物足りなかったりします。(その分劇場版で朱ちゃん深見真ヒロインみたいにバリバリに軍隊式格闘術をこなすようになってて肉体的にもなんか強くなって胸が熱いっていうよりもちょっと切なくなった)
2つ目はグロシーン。特に4話で、メンタルケア施設で色相を悪化させた人間を真昼間からドミネーターでバンバン破裂させていくところは、正直引いた。1期ではエミリネーターを使っていたのは対犯罪者だったのが大半だったのですが、2期では殆ど「色相を悪化させた」一般人だったのが個人的に引っかかります。確かにあの世界では犯罪係数を悪化・色相の悪化でエミリネーターで一発ドカンは全然あり得ますが、それでも色相を悪化させただけの一般人をバンバン殺していくのは見ていて気持ちのいいものではありませんでした。
3つ目は、自分の信念や美学を持った人間がいなかったこと。2期でのグロの多くは「カムイに賛同した人間が引き起こした」ものであったので、その辺りが自分の美学を持った王陵理華子や泉宮司豊久との違いです。
……2と3を総括すると、ようするにサイコパスの1期と2期の魅力の違いっていうのは、槙島かカムイかっていうことだとふっと思いました。
(ただ、どうも2期の脚本よりも劇場版の脚本の方が先に出来上がっていたという話をちらちら聞いたので、2期は1期と劇場版の穴を開ける役割だったそうです)


で……劇場版ですが。この劇場版、2期見てなくても全っ然行けます。
2期から登場するキャラクタっていうのは、雛河くんと須郷さん、それから霜月ちゃん(まぁこいつに関しては、1期見てる人は大丈夫か、ちょっとゲスい女の子と認識していれば)ぐらいで、その他は話題にも出てきません。1期の最後で執行官が二人殉職してしまったので、その2人の分に雛河くんと須郷さんが入ったことにしていても都合は悪くなりません。何故ならば、東金やらカムイやらの2期に登場して2期に消えたキャラに関しては名前すら出てきませんし、ていうか2期にあった出来事はかすりもしません。2期の出来事よりも、槙島のこと話してますよ。一緒に見に行った友人は1期見てないけどなんとなく把握→2期ガッツリで映画見に行ったんですが、「2期見なくてもよかったね」と言っていましたよ。寧ろ「1期からの続編」だよね? つうか櫻井さん、雛河くんよりも槙島の方が台詞多くなかった笑?


映画版ざっくりとよかったところ。
1.導入部分。密入国テロリストとの銃撃戦で、1係のそれぞれのキャラクタに見せ場らしい見せ場があったところですかね。特に私は、柱の陰に弥生さんと朱ちゃん(ギノさんだっけ?うろ覚え)が隠れて、2人で目配せしてタイミングを合わせて出て行ったところとかが好きです。この対テロリストとの格闘は劇場版に視聴者を引き入れるいいシーンだと思いました。
2.最初の方の朱ちゃんの私生活。2期では私生活がほとんど見えなかった朱ちゃんの、今の交友関係とか生活が見れたところです。ゆきの事件があったあとのもう一人の友達との交友関係が見えたり、家に帰って黙々とトレーニングする朱ちゃんが見れたり。この辺は2期でほんとに見れなかったので、ちょっと安心しました。……2期での朱ちゃんの生活観の無さを見ると、あの一連があった後「アウトバーン」の八神瑛子バリのデカになったんじゃとか思っちゃったよ!
3.格闘シーン。2期ではほぼないに等しい(唯一、朱ちゃんがストーガネを取り押さえてたシーンがあった。……鍛えてる東金が20代の女の子に簡単に取り押さえられてていいのっ?って思いましたが、朱ちゃんは絞噛さんとサシでやり合えるぐらいのスペックを持ち合わせられるので、そりゃやられるわ)格闘シーンですが、ぐるんぐるん動きまくるわ、またメリハリはあるわで見応えがあります。あ、あの傭兵組の金髪のねーさんがスッと近づいてスッと殺すシーンとかよかったです。
4.ギノさんの成長。1期では色相を気にし過ぎて常にヒステリー(無能座さんとか言われてたな)、2期では執行官という名の朱ちゃんの守護神にジョブチェンジし、そんな彼は劇場版ではかつての親友に一つの決断をします。(この辺りのくだりは上手いなと思った)2期で彼はほとんど親友のことを話しませんでしたが、考えることがあったのでしょう。4年の時を経て親友に言った一言に成長を感じざるを得ません。……ところでギノさん、何で劇場版はポニテなんですか?
5.朱ちゃん大好きシビュラシステム。ほんっとにシビュラって朱ちゃん大好きなんですねぇ。お前朱ちゃんの守護神じゃねーか!


最後に。よかったところと言えば。
私は狡噛さんに会えたことです。

っていうのも、私はサイコパス1,2、劇場版の見方として3パターンがあると思うんですよ。
1.1期を見る→2期を見ない→劇場版へGO!
2.1期を見る→2期を見る→2期をなかったことにしておいて→劇場版へGO!
3.1期を見る→2期を見る→2期をとりあえずあったことにしておいて→狡噛さんが恋しくなり欠乏症になった上→劇場版へGO!

……私は3でした。2期は、2期は、、、、うん。悪くはなかった、と言いたい。カムイよりも確かに槙島の方が魅力的だったと思うし、霜月は無能な上にゲスいし、不必要なグロはあるしで、見ていて気持ちのいいものではなかった部分は多多ありました。が、私の心情はともあれ、クオリティそのものは高いですし、「2年を経てさらに成長し」「シビュラに更なる進化をうながした朱ちゃんの物語」だと思えば、2期は悪くないです。シリーズ構成を担当した冲方さんに熊谷純さんも、短い間でこのクオリティを造り上げたので、それに関しては脱帽せざるを得ません。
だけどね。1期の主人公が狡噛慎也で、ものがたりの中心にいるのは狡噛慎也槙島聖護だから、この二人が2期で現れないとなると朱ちゃんは頑張っていましたがやっぱりさびしい感じは拭えません。
……やっと狡噛さんに会えた! これが私の、映画を見終わった後の第一声です。
全体的な感想を言えば、面白かったです。作品知ってて見るのを躊躇ってる人には是非と薦めたいです。


………あとスゲーどうでもいいんだけど、作中で狡噛さんが拷問されてたところがあったんですが、これ、サイコパスという作品が完全に深見先生のオリジナルだったら、拷問されるのが朱ちゃんになってたんじゃとか考えてしまいましたよ。