「14−15シーズン このプログラムが凄い!」 投票結果

ツイッターとブログでおっかなびっくり始めたこの企画ですが、色々な方が投票&リツイートしてくださったおかげで、自分でも驚きの票数を集めることが出来ました。票数にして647票。
では早速結果からいきたいと思います。14‐15シーズン、スケオタが選んだ良プログラムはこれだ!
※選手に対しての書き方は、非常に申し訳ないことに自分が書きやすいように書いてしまいました。


1位 小塚崇彦FS「イオ・チ・サロ」振付:ローリー・ニコル 35票
2位 宮原知子FS「ミス・サイゴン」振付:トム・ディクソン 34票
3位 デニス・テンFS「New Impossibilties」振付:ローリー・ニコル 31票
4位 村上佳菜子SP「Think of me」振付:樋口理穂子 27票
5位 羽生結弦SP「バラード1番」振付:ジェフリー・バトル 23票
6位 川口悠子&アレクサンドル・スミルノフ「マンフレッド交響曲」振付:ピーター・チェルニシェフ 21票
7位 エリザヴェータ・トゥクタミシェワSP「ボレロ」振付:ユーリ・スメカロフ 18票
8位 町田樹「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア」振付:フィリップ・ミルズ 17票
8位 町田樹交響曲第9番」振付:フィリップ・ミルズ 17票
10位 エリザヴェータ・トゥクタミシェワFS「Batwannis Beek」振付
:ウラジミール・バルナバ 15票

10位 デニス・テン「カルーソ」振付:ローリー・ニコル 15票
10位 ユリア・リプニツカヤSP「メガポリス」振付:イリヤアベルブフ 15票


○ベストテン総括
最終的には宮原フリーと小塚フリーの一騎打ち!競り勝ったのは小塚フリーで、特に全日本フリーに投票多し!日本人選手のプログラムが上位に食い込み、やはり安定のローリー振り付け!カップル競技では川スミのマンフレッドが堂々のランクイン!SP・FSともに票を集めたのは町田・リーザ・デニス。


以下。拙いですが少しばかり解説をば。最初に断っておきますが、トンチンカンなこと言ってたらすみません。



1位 小塚崇彦FS「イオ・チ・サロ」振り付け:ローリー・ニコル 35票

今まで、有香さん、ズウェワ、ウィルソン、シェイリーンと言った名振付師のプログラムを滑ってきた小塚くんでしたが、意外にもローリーとは初めてだったんですね。フジテレビでは「これからも僕はいるよ」という泣けるタイトルで紹介されていました。小塚くんの優雅かつスケールの大きいスケートを強調するような素晴らしいプログラムでした。今シーズンは小塚くんの本来の力を中々発揮することはできませんでしたが、その中でも全日本は2本の四回転を入れ、素晴らしい演技で佐藤信夫コーチの涙を誘いました。この企画でも「全日本選手権のフリー」と特定で投票された方も多数いらっしゃいました。



2位 宮原知子FS「ミス・サイゴン」振り付け:トム・ディクソン 34票

投票期間中、安定して票を伸ばし続けていたのが知子ちゃんの「ミス・サイゴン」でした。知子ちゃんの凛とした雰囲気が際立ち、歌詞が入った中盤〜そ終盤のコレオシークエンスが圧巻のプログラム。これは知子ちゃんの代表作となる一作でしょう。またこのプログラムで凄いのは「A案とB案が駄目か。……ならばC案だ!」と言わんばかりに後半に+3のコンビネーションを持ってきたことでしょうか。(しかも一つは最後のジャンプ)



3位 デニス・テンFS「New inpossiritis」振り付け:ローリー・ニコル 31票

デニス×ローリーのプログラムはここ数シーズン、3シーズン前の「アーティスト」を代表して、安定して良いプログラムを送り出してきました。今回もその安定感は健在で、SP・FSともにランクイン。より票数を集めたのはFS。「カザフスタンとはかくこのような地なのではないか」と思わせるようなプログラムだった、というのは私の個人的な感想。StSq、コレオシークエンスのステップは圧巻。このプログラムで、デニス・テンという選手は人間卒業間近になりました。(寧ろした?)
ついでに言わせて頂ければ、フリーのプログラムは衣装が、特に変わる前のものが最高でした。



4位 村上佳菜子SP「Think of me」振り付け:樋口美穂子 27票

ヴォーカル曲が解禁された今シーズンで人気だったのは「オペラ座の怪人」。三者三様色んなオペラ座があったけど、一番人気は村上佳菜子の「Think of me」(27票)。ちなみにその次に票が集まったのが羽生FS(12票)。この二つが二ケタの票数を集め、他が一桁票でした。もう少しいろんな選手に票がばらけるかなと思ったので、個人的にはちょっと意外でしたね。要因としては、この佳菜子ちゃんの、クリスティーヌの詩情を美しく歌い上げたかのような綺麗なプログラムに票数が集まった、といった感じでしょうか。
尚、かなこちゃんのオペラ座はフリーもありましたが、こちらは世界選手権前と世界選手権からで振り付けが少し変わっていて、「世界選手権版で」という投票もありました。



5位 羽生結弦SP「バラード1番」振り付け:ジェフリー・バトル 23票

「パリの散歩道」は名前の通りパリ、「ノートルダム・ド・パリ」は名前の通りパリ、「オペラ座の怪人」はパリが舞台。じゃあ「羽生選手の今季SPのバラード1番は?」。フレデリック・ショパンがパリ在住中に作った曲でした。
そんなバラード1番を使った羽生のプログラムは、羽生にとって2作目となるバトル振り付けですが……。カウンター3Aイーグル、なんちゅう入り何だルッツからの3―3等、ところどころ振り付けが鬼畜になっていました。
ちなみに全音ピアノピースでのバラ1は最高難易度F。「高い表現にはおのずと高い技術が必要になるもの」というのをまさに体現している1曲であり、バトルが羽生の現段階での表現そして技術を最大限にまで引き出した1作。
惜しいのは振り付けもさることながら、色々あったシーズンの中ですが、クリーンプログラムがなかったことでしょうか。



6位 川口悠子&アレクサンドル・スミルノフ「マンフレッド交響曲」振り付け:ピーター・チェルニシェフ 21票

昨シーズン、怪我に泣かされて五輪を断念せざるを得なかった川スミ組が、今シーズンの原液を続行したのは「このプログラムを滑りたかい一心」だったそうです。チャイコフスキーが作曲したこの曲自体の評価はかなり別れていますが、恐らくこのプログラムでスケオタの間で評価が別れる、ということにはならないではないでしょうか。先述の通り、カップル競技で唯一の10ケタ票を集めました。
SPの「タイスの瞑想曲」から打って変って情熱的なプログラム。特に後半は情熱という単語では生ぬるい、激情と言うのが適切だと個人的には感じます。
このプログラムで復帰の今シーズン。ヨーロッパ選手権で5度年ぶり2度目の優勝を飾り、スケートアメリカではスロー4回転サルコウが認定されました。



7位 エリザヴェータ・トゥクタミシェワSP「ボレロ」振付:ユーリ・スメカロフ 18票

 
ミーシン門下生でボレロ、と言ったら昔のプルシェンコも滑っておりましたが、そのボレロをリーザに進めたのはプルシェンコ、というお話もございます。(ツイッター情報です。明確なソースがありましたらご一報いただけると嬉しいです。)
このシーズン、素晴らしい成績を残し続けたリーザを象徴するようなプログラム。世界選手権ではこのプログラムで、女子で6人目のトリプルアクセル認定がされました。3A、エラーのないルッツ、後半3―3とまさに女帝のジャンプ構成。
オリエンタルな雰囲気を全身から醸し出すFSも人気でした。デニスのFSがカザフスタンの風なら、リーザのFSは中東の踊り子のようですね。



8位 町田樹SP「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア」、
FS「交響曲第9番」 振付:フィリップ・ミルズ

このシーズンの全日本で誰もが驚く引退を発表したまっちーのショート・フリー。ここ数年のまっちーのプログラムに対する想い、作り込みようは半端じゃありませんでしたが、特に「第九」は、はじまりの静止から「何か凄いものを見てしまいそうな予感」が凄かったです(個人の感想です)。
また余談ですGPシリーズの時は、FSの曲が流れるたびに、年の瀬じゃないのに年の瀬感が凄かったです。(個人の感想です)



10位 エリザヴェータ・トゥクタミシェワFS「Batwannis Beek」振付
:ウラジミール・バルナバ 15票

 デニス・テン「カルーソ」振付:ローリー・ニコル 15票
 ユリア・リプニツカヤSP「メガポリス」振付:イリヤアベルブフ 15票


デニスのSP、リーザのFSについては少しですが上記で既に述べたのでここではリプニツカヤのSPについて。「愛はまごころ」や「シンドラーのリスト」等、昨シーズン見せたエモーショナルな演技から打って変わり、ピアノをベースにした、陰がありながらも透明な音を用いた曲と、ユリアが本来持っている生真面目な固さがマッチしたプログラムに仕上がっています。スピンだけではなく、アラベスクポジション→2Aなどでも彼女の身体の柔らかさが強調されています。
振付けはイリヤアベルブフ。兄弟子のヴォロノフ、昨年引退したマカロワマカロワ同様ルカヴィツィンコーチに師事するメンショフ等、ロシア選手は彼に結構振り付けを依頼しております。そういえばアベルブフはマカロワでも「メガポリス」の振り付けをしていましたね(12−13シーズン)。それぞれ個性が出ているので、並べてみてみるのも面白いかもしれません。



その他雑感として。
アイスダンスは票数よりも熱量。
日本がシングル大国だからか、男女シングルが主に票を集めましたが、カップル競技も結構票数を頂きました。特筆するのはアイスダンスで、票数よりも個人の熱量。要するに、「絞りきれない!」という嬉しい悲鳴から、一人当たりの投票数が凄まじかったのです。
アイスダンスで一番票数が多かったのはパパダキス&シゼロンのフリー(9票)です。


○カメレンゴ振り付け減った?
今シーズン、あまり見かけなくなったのがカメレンゴ振り付け作品。バンクーバー直後は爆発的に増えましたが、それも落ち着いてきた感じでしょうか。代わりにといっちゃなんですが、このシーズンで増えてきたのがミルズ振り付け。日本選手でも、今井遥ちゃんのフリーがミルズ振り付け作品でした。……減ったと言えばタラソワの振り付けも減りましたね。


○ロシアの振付師はアベルブフとグリンカが光明を見せるか?
相変わらず振付師の本場は北米。そして一番人気はローリー。北米人だけではなく、ズウェワを始めクリロワやカメレンゴもデトロイトにいるので、今や世界的に、海外に振り付けに行く=北米に行く、という構図になっています。そんな中ロシアの選手は、案外本国の振付師に依頼しているパターンが多くみられます。ロシアの振付師と言ったらタラソワがいますが、彼女も昔ほど選手の振り付けに関わっているわけではありません。
ではロシア本国のコリオグラファーは誰がいるのか。ぱっと出てくるのはエフゲニー・プラトフ(ジュベールの「Rise」)、アレクサンドル・ズーリン(村主さんの「ファンタジア」、ヴォロノフの「死の舞踏」)、オレグ・グリンカマカロワの「マリリン・モンロー」)、イリヤアベルブフ(ユリアの「愛はまごころ」「シンドラーのリスト」)等、振り返ってみれば結構名作を作っている方が多いです。特に最近、名前が多いのがグリンカアベルブフ。今季、グリンカレオノワチャップリンを手掛けていて、アベルブフはユリアのメガポリスを振り付けしています。
グリンカはルカヴィツィンコーチのチームに入っている選手の多くを振付けています。一方のアベルブフはダンスファンの間では知られた名前ですね。
振付師としての彼らの作品は、テン世代に入ってからよく見られるようになりました。レオノワのファニーな明るさを出したチャップリン、ユリアの演技力を引き出した「シンドラーのリスト」など、個性や新しさを前面に出し、そのあたり両者の手腕がそれぞれ光っています。
新採点法になってから、ロシアの振り付けはイマイチ対応しきれていない、北米と比べて一歩出遅れている感が否めませんでしたが、そう言われるのも一昔前の話になる日も、そう遠くはないのかもしれません。


最後に。
この企画を纏めるにあたって、改めて選手のプログラムを色々見返してみました。「川スミのマンフレッド最高!」「デニスのフリー最高!」「ジョシュアのフリー美しす!」など、興奮してみてしまっていました。今回特に、小塚くんの全日本フリーを改めて見返したら演技、音楽、実況全てが神でビビります。西岡さんの「さあ、小塚のステップです」という一言が、彼のステップがいかに惹きつけてやまないものだと証明していますね。
ある意味企画者のワタクシ、クロサキが一番楽しい思いをしてしまいました。
重ねて、関わってくださった全ての方々に感謝致します。投票して下さった方、宣伝をリツイートしてくださった方、本当に本当に、ありがとうございました。
15−16シーズンも、ミハルのバトル振り付け(超楽しみ!)、リーザのらんび振り付け(超楽しみ!)などが我々を待っています。