馬場康志「ゴロセウム」


馬場康志「ゴロセウム」

* * *

このブログではあまり触れていませんが、ちょっと前までヤングマガジンで連載されていた「空手小公子小日向海流」という漫画が大好きでした。だって綺麗な絵と格闘技ですよ? 己の肉体のみで戦う格闘家のものがたりですよ? 美女もイケメンも老人ももりもり出てくるギャグ格闘漫画ですよ? 大好きです。
その「空手小公子小日向海流」ですが、この漫画は元々は格闘技というよりも、嶺南大学という大学を舞台にし、鏑木流空手という架空の流派を扱う空手部漫画でした。いじめられっ子の体操部員の海流が、鏑木流空手を扱う第二空手部の無類の喧嘩好きの野獣・武藤竜二に助けられたことにより空手の道に入り、その道にのめり込んでいく……というのが、第一部。
第二部では第二空手部の沖縄合宿の様子が描かれ、
第三部では鏑木流空手の全国大会が開かれ武藤や海流をはじめとして、濱田カオルやジェラール・ベルトラン等の多流派から乗り込んできた面々との熱戦が繰り広げらる。
そして第四部では、全国大会後、鏑木流空手総裁の不祥事(ダイエット詐欺)から第二空手部は廃部になり鏑木流空手同好会に格下げされてしまう。武藤は武者修行へと旅たち、部員たちは道場を追われた中でも活動を続けていた。全国大会から1年後。鏑木流の全国大会がなくなったため試合は他流試合メインに移行、さらに主将の南が引退・卒業し、三年となった小日向たち活躍を描く。
第四部では他流試合やプロ試合が多くなるので、「大学を舞台にした空手漫画」というよりも「ガチモンの格闘技漫画」として見るのが正しくなってくるかも。その他も第四部は色々あるんですよ。南さんがAV男優としてデヴューされそうになったり南さん試合中月給2万5千円なのをバラされたりカオルちゃんのエビチリパンチが炸裂したり南さんの株が初期とは比べ物にならない程上がって行ったりとかもう、色々。
そんなこんなで全50巻、最終巻ではチャンピオンベルトを巻く海流の姿が表紙になり……これに続編があります。2年後の、今度は嶺南高校を舞台にした空手漫画。「空手小公子物語」というのがそれです。ただ、この「物語〜」の方はイマイチ振るわず、単行本の売り上げも伸びず(作者談)最終的には打ち切りで終わりになってしまいました。この頃馬場先生が色々呟いていたなぁ……(遠い目)。ツイッターで色々暴露して、この漫画は打ち切られました。
……………その数か月後。ヤングマガジンから雑誌を変え、隔月刊誌ネメシスで連載を開始。
その名も「ゴロセウム」。
…………………前置きが長くなりましたが、今回は「ステゴロの格闘技と筋肉と綺麗なお姉ちゃんを見たい」という人向け漫画レビューです。

* * *

人類にもたらされた謎の物質「平和回路(ピースメーカー)」により、世界に新たな秩序がもたらされた。弾丸、ナイフ、ミサイル、核、毒ガス、生物兵器など、およそ“平和的”でないものはすべて旧時代の遺物と化した。今や優れた肉体を持つステゴロの格闘家のみが最強の兵器となったのだ! 世界は巨大なコロシアムと化し、勢力図は塗り替えられた。そんな強者たちの「猟域」に足を踏み入れる少女がいた。彼女の名はサーシャ・グンダレンコ。血の標は彼女をどこへ導こうというのか!? 馬場康誌が描く新世界肉弾アクション、堂々開幕!!
http://kc.kodansha.co.jp/product?isbn=9784063765694
講談社による1巻の紹介文

* * *

………………………LIZARD KINGかなこれ?

中身は格闘技!オカルト!歴史を背景にSF!な感じに、空手小公子の時もあった馬場先生の軽いノリとギャグが合わさっていて、作品全体のテンションが高いです。プー太郎の土方歳三(「ゴロセウムでは平行世界なので土方歳三が生きていたという設定になっている)のひ孫が出てきたり、ロシア王朝を揺るがしたラスプーチンが生きていたり凄い設定。
1巻の中身は、ロシアの「どう見てもあの人」が世界征服の為に14歳の少女を国家レベルで追い掛け回したり、その14歳の少女をアメリカの「どう見てもあの人」がこちら側に引き入れんと「どう見てもあの人」な日本の首相と密談し、その間にその14歳の少女は助けた女の子とデートしたり、その後中国人民解放軍の「どう見てもあの人」がその少女が持つあるものを手に入れる為に襲ってきたりするのが全編。「どう見てもあの人」としか言えないのはまぁ、本編を見て頂きたいのと、全体的に似すぎて肖像権侵害スレスレレベルだから。
そのストーリーの後ろでは名もなきモブの首が飛んだりトラが殺されたり、一人が百人を一気にジャーマンスプレックスしたり、いろいろもうヒドイ。まぁ、一番酷いのはこのレビューなんだけど、とにかく、
拳! 血しぶき! 死体の山!!
……を繰り出し造り上げ築き上げ、その中心にいるのが14歳の最強ロシア美少女というところで、萌えるじゃないか。
一番魅力的なのは何といってもサーシャ。
超強くてカワイイけど見た目はどう見ても成人女性。だけど、中身は全くのおさない少女というそのギャップもまたカワイイ。そんな少女が人知を超えるパワーと性能で敵を鎮めていくのが痛快。


そして何といっても外せないのが、作中のガチムチ度。
ロシアないし世界には、ピースメーカーを装着し、特殊手術で骨格と筋量を倍加させたチェルノボーグと言われる歩く人体破壊兵器がごろごろとしており、それが世界全体が巨大な闘技場になったのだが驚くべきはそのピースメーカーの設定。
このピースメーカーには、銃器類を全て無効にする効果があるだけではなく、老化を含めた体のダメージの回復を行う役割も果たし、年老いても若返らせる機能もある。
……かつてはバリバリの格闘家だった60歳ぐらいのおじいちゃんが、年齢はそのままなんだけど肉体だけ健康的ピーク時を常に保つと言うことも可能なので。
なのでこの作品はジジイでもガチムチです。
開けばガチムチの格闘家がいます。


そんなわけで、最強少女に萌えたい人とガチムチ萌えの人は是非この作品を読むべき!!
三枚揃うと大変なことになるレコードを巡って!最強少女を巡って!ロシアが!日本が!アメリカが動く!!

いやあ今後が楽しみな漫画です。