2016年読書大掃除

2017年になりました。あまり更新のないブログですが、今年もよろしくお願いいたします。
……結局ユーリの感想2話で止まってしまったあああああああああ。


そんなわけでタイトル通り、2016年に読んだ(つってもそんなに読んでない)ものの整理。感想のようなそうでもないようなの列挙です。



「おいしいベランダ。午前1時のお隣りご飯」竹岡葉月/富士見L文庫
考えてもみよう。あなたの部屋の隣に若い男性が住んでいる。ひょんなことからであった彼は29歳(亜潟さん)のスーツが似合うイケメンだ。フリーランスだから在宅で仕事をしている。家にいるときは大体ジャージで、自分が食べられるだけのものを育てているだけと称して部屋中ベランダ中を食える植物で埋め尽くしていて、ついでに作る料理はかなりうまく、隣に住む女子大生(主人公)にふるまっている。
……ありのままの植物男子にやられてしまえばいいよ!!!!



「おいしいベランダ。2 二人の相性とトマトシチュー」 竹岡葉月/富士見L文庫
ありのままの植物男子に以下略ではまったのですが、この小説は、この2巻に出てくる亜潟さん(29歳)の甥の気分になって「29歳のおっさんが女子大生と付き合っているなんて羨ましすぎるそこかわれ!!!」という見方が出来るのではないかと思った。



「雪の鉄樹」 遠田潤子/光文社文庫
祖父や父が日々女を連れ込む、たらしの家で育った庭職人・曽我雅雪。彼は13年前から両親のいない少年・遼平の世話をしている。遼平の祖母からは日々屈辱的な扱いをされているが、少年を世話をする理由は昔のある事件の贖罪のためでもあった。……というのが本書の内容。
その前に読んだ「月桃夜」がとてもよかったので続けて読書。過去にとらわれる人々の熱い愛憎。もう触るだけで火傷しそうなぐらい熱くて激しい。これがドロドロの愛憎劇というとかなり軽いニュアンスになってしまうのですが、東海テレビ的昼ドラになっていないのは雅雪の行動の勤勉かつ素直な愚直さにあるのだと思う。
「あなたが一生をかけて償うというのなら、私は一生かけて恨む。死んでも地獄の底から恨む」
劇中で遼平の祖母が雅雪に言い募るシーンがある。人からこうまで言われる男は過去一体何をしたのか。そして、人からこうまで言われてまで少年の世話をする理由は一体何なのか。その熱量からページをめくる手が止まらなくなる。……だけど最後の一ページに行ったらほっとした気分になったなぁ。ああ終わった、という安堵感が強い。「月桃夜」にしびれた人は是非読んで頂きたい一冊。



「このたびはとんだことで 桜庭一樹奇譚集」 桜庭一樹/文春文庫
直木賞作家(っつってもあの作品はそんなに好きではないのだが)桜庭一樹の初めての短編集。「青年のための読書クラブ」の前身である「青年のための推理クラブ」や、直木賞後に雑誌で掲載された「冬の牡丹」等を収録。
特に「冬の牡丹」「モコ&猫」はよいぞ。社会に出て少しでもつらいと思った人間はぐぐっとくるはずだ。この二作は、男女の微妙な距離(冬の牡丹)と男女の微妙な偏愛(モコ&猫)で、読みつつ、この「微妙さ」が桜庭一樹的でもあり。


ひとしずくの星」淡路帆希/富士見L文庫
数年に一度訪れる天災「星の災禍」で家族を亡くしたラッカウス。神官として聖都で暮らしていた彼の頭には一つの疑問があった。「星の災禍」とはなんなのか。調べるべく入った禁忌の森で無垢な少女と出会い……。
読んだのおととしですが(苦笑)。童話のような詩的なような、静かで美しい恋の物語。あとそんなに長くないので冬休みの読書としてもおすすめ。



「バットカンパニー」深町秋生/集英社文庫
やべえ。超イイ女だよ野宮綾子。「おはようございます。イカれた女です」と言いながらヤクザの目の前ににこやかに現れる。怖すぎる。怖すぎるぐらいイイ女だ、野宮綾子。
野宮綾子社長率いる人材派遣会社・NAS。ここはまっとうな人材派遣会社ではなく、金さえ積まれればヤクザの護衛やテロリストとも相手するちょう無茶ぶりの会社だ。勿論降りかかる仕事もただの仕事ではない。裏カジノに潜入、訳あり少女への護身術の指導、挙句の果てにはヤクザとドンパチ。確かな修羅場(命のやり取りという意味で)の行間から醸し出されるバイオレンスな血の匂いにノックダウンされてください。そして野宮の無茶ぶりに泣き言を言いながら振り回されている社員の姿に萌えてください。「デート&ナイト」(監督:ショーン・レヴィ)みたいなジェットコースタームービーが大好きなひとに特におすすめ。


「レディ・ガンナーの冒険」茅田砂胡/角川文庫
破天荒お嬢様の冒険譚。ファンタジーではあるけれど、ファンタジー(幻想)、ではなく、アドベンチャー(冒険)の小説。15年前の良きジュブナイル
とにかく主人公のお嬢様、キャサリン・ウィンスロウがなんと魅力的なことか!!行動力があり、曲がったことが大嫌い。そして義を重んずるという。そんなかっこかわいい14歳の少女です。そして銃の腕もなかなか(ポイント高いよ!!)



「視線」永嶋恵美/光文社文庫
劇団員の夏帆は副業でやっている住宅調査員の仕事で、昔住んだことのある閑静な住宅街を訪れる。偶然再会した同級生と会う約束をし、再び住宅街を訪れたその夜、通り魔に襲われる。同じ夜にその住宅街で人が一人なくなっていて……。
永嶋恵美お得意の「イヤ汁100%」。どのぐらいイヤ汁100%というのと「泥棒猫ヒナコ」シリーズや「一週間のしごと」みたいな比較的軽いタッチ(っつってもこれもイヤ汁50パーセントぐらいだが)から知った人は結構ドン引きするかもしれない。
それぐらい主人公の女がヤな女(最大の褒め言葉です)。「あんなオバさん族」とかつての同級生をよくよく見ながらその実「あんなオバさん族」になるのを過剰なまでに恐れている(ようにも見える)。あんたと違うんだから、と思いながら、自分がその分類に行きつつあるのを認めようとしない、というか。


さあ今年の読書はジョニー・ウィアーの自伝からだ!!!