篠原美希「ヴァチカン図書館の裏蔵書 聖杯伝説」

篠原美希「ヴァチカン図書館の裏蔵書 聖杯伝説」新潮文庫nex

ヴァチカン聖庁の枢機卿を大叔父にもつ玄須聖人は、ローマ大学留学中。ダビデ像に似た美丈夫のマリク神父と友達になり、オペラ公演に出掛けることに。会場では、奇しくもヴァチカン図書館の蔵書の刻印がある本を拾い、なぜか惨殺死体まで発見してしまう。本の持ち主を突き止め、イギリスの屋敷を訪ねるのだが──聖人とマリクが、暗号化された「聖杯」の秘密を読み解き、真相に迫る!
http://shinchobunko-nex.jp/books/180119.html

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前回、第一巻の感想を書いた時に、「聖人と聖人の「友達」になったダビデことマリク神父のやりとり及び斉木兄貴の過保護っぷりがもっと読みたいので新潮文庫nex様続編お願いいたします。」とかなり熱を入れて「続編希望!」と書いたのだが、今年の3月、その私の願いが通じて晴れて続編が刊行された。ひゃっほい!感想は今更だけどね!!


まず、手前にいるマリクという名前の金髪の美丈夫が神父であるということから話を進めたい。
ついでに言えば前回のお話で主人公に「世界に一人ぐらい、私を神父として扱わない人間がいてくれてもいいのではないかと思っています」という最高の殺し文句で友達になってくださいと言った本人で、神父らしい慈愛に満ち、神父らしからぬ切れ味の鋭さを持ち合わせているのである。なんで私、このシリーズ好きなんだろうと思い返したら「マリクが好きだからだ!」というところで落ち着きました。深い教養、芸術性を解する心と明晰な頭脳に、職は神父。最高です。
そんなわけで友達になったので、この巻では主人公の聖人と一緒にオペラに出掛けたり(私服!神父の私服!!)、出掛けた先で事件に巻き込まれたり、事件に巻き込まれて夜中うなされる聖人をつきっきりで見ていたり、二人で気分転換でちょっとイギリスに行ったり、聖人と血まみれのジョニーについて語ったり(ジョニーとはある身体部分を指します。この血まみれのジョニーが話のキモになるから全く変態だよ!)、マリクの出番が多いのが個人的に嬉しいところ。……友達になったら過保護っぷりが上がりましたね。いいぞもっとやれ。
で、聖杯伝説と副題がついているのですが、前回の謎が「ベナンダンディ」で今回の謎が「聖杯伝説」なので、今度は聖杯伝説についての謎を追っていくわけです。聖人が巻き込まれた事件も、血まみれのジョニーもすべて聖杯伝説に通じていくのです。これに関してはお話が二転、三転していくので面白いです。やったことはないんですがFGOとかやっている人にはぴりっとくるものがあるのでは。聖人も「聖杯って、ゲーム?」とか言っていたので。
それから2巻では、夢とかうっかりとか偶然ではなく、聖人が自発的に活躍する場面があるので、そこは必見です。

お願いだから3巻出てね!!私マリク神父が大好きだからお願いします新潮文庫nexさん!!!!!!!!!!!!