陋巷に在り 冥の巻

読破! 最近なんだか「陋巷に在り」の読むペースが遅くなってきている気がします。

この巻もいろいろ濃かった。陋巷は1巻1巻の内容のカロリーが高い。しかも7,8と顔回の出番が多いのである。まるで今までの分を取り返すかのようである。
この巻でも引き続き医ゲイ先生による簱の治療、そして簱の病の原因である魅鬼をぶっ倒すべく九泉(冥界)に入った顔回の話がメインだった。
一番かっこよかったのは、冥界に下りた顔回をあれこれと手助けをする祝融様である祝融様は南方の神様で、医ゲイ先生とはそれなりに面識があるらしい。医ゲイ先生は最初、簱の治療は自分で治せるとはっきりといったものだが、7巻最後で治る確率は五分五分になってしまった。そこで祝融様に頼ったのである。
祝融様はとにかくかっこよすぎである。スゴイ威厳なのである。もう貫禄が違う。よって祝融様と呼ばせていただく。


以下感想。
・簱が二人とか素で笑った。いや、わ、笑っちゃいけないんですよ!!
・五六、ヘタレから若干奪回。五六は生意気じゃなくっちゃいけません。ちょい嬉しい。
・治療で治る確率を五分五分にしてしまった医ゲイ先生だが、彼がすごいことには変わりはない。命がけで簱に薬酒を飲ませる所など、五六ではないが思わず賞賛してしまった。
・五六のヘタレは許せんのに顔回のヘタレは許せるのは何故だろう。
・この巻で怖かったのは、偽孔子である。怖い、というか、なんというか、見ていて腹立つ。しかしその存在は顔回の首を確実に閉めていっていてそこが恐ろしく、しかし話し方が腹立たしい。ようは両方か。本家孔子じゃないのに、話方が巧妙で憎らしい。
新潮文庫では裏表紙にその本の簡単なあらすじが書いてある。陋巷8巻の一部を抜粋「冥界に降りた顔回をめぐり、神同士が激しく相争う、驚天動地の第8巻」
……いや! 争いましたけどね! 斬りあいとかしてましたけどね! ちゃんと内容で「神同士が争うのは神にとっても神話の中だけである」って書いてあったじゃありませんか! ちゃんと読んでくださいよ!
てゆうか新潮文庫の編集部はちゃんと陋巷読んでんのか? 3巻の紹介文でも子蓉に骨抜きされたのは子路って書いてあったし(本当は子貢)、ちょいあやしい。
それはとりあえず追いとくとして、九泉には子蓉と簱がいて、二人を連れて帰るはずであるが、子蓉の方は「どちらか一つしか選べない」と強く主張。そんな三人の様子を見守る祝融様、外の医ゲイ先生はどうなったのか!?というところで終わってます。


ところで、8巻には嬉しいオマケがついていた。なんと、小説新潮で連載していた時の南伸坊さんの挿絵が、一部であるが乗っていたのである。
ありがとう。新潮文庫編集部(さっきいちゃもん付けてた人間ですが)