赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説


桜庭一樹の今まで出た本で一番手ごわかった。鳥取の旧家、赤朽葉家の三代の女達、製鉄業の繁栄と衰退、戦後から高度経済成長にオイルショックからバブル崩壊そして未来。一家三代の歴史とともに織り込まれている日本の戦後史がとても絶妙だった。
赤朽葉家の三代の女。祖母で千里眼を持つ万葉、伝説的なレディースで天才漫画家の母・毛鞠、語り手でニートの娘・瞳子
祖母の代は、多分一番楽しく読めた。万葉を見抜いて赤朽葉の嫁にしたタツさんはすごい。
それで、一番「手ごわい」と感じたのは母の毛鞠である。彼女は破天荒というか、荒唐無稽というか、とにかく一番“現実で起こりそうだけどやっぱりあり得ない”というのをしてしまったことが恐ろしい。
娘の代はというと、あまり瞳子のことは書いてはおらず(語り手だしね)、万葉がかつて一人、誰を殺したかを探るのがメインだった。……まぁ、誰を殺したかは割と早くにわかりますが。しかし最後は「少女には〜」や「砂糖菓子の弾丸〜」のような陰鬱になるような読後感ではなかった。割とすっきり終わった感があった気がする。


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