ピアソラとオルガン ――中村健人選手の今季プログラム

GPシリーズが本格化したら、国際大会Bの情報が入りづらくなってきた気がしますね! スポーツナビさんのニュースのところでも入らなくなってきましたし。。
そんな中、NRW杯で男子シングルの中村健人君が3位に入ったニュースを聞き……びっくりしつつ、喜びを感じております。このNRW杯で確認して個人的にいいな、と思った点が三つ。
一個目はフリーの後半で3Aが入るようになったこと。この、後半の3Aは得点源ですよ!!
二個目はショートの振り付けのよさ。
三個目は、SP・フリーの選曲の良さ。……これについては「選曲がいい」というよりも「私の好みだww」というだけですがwww
そんな訳で今回は中村健人くんのお話です。


先ず今季SPをどうぞ。

ショートはそう、ピアソラです!
もうさー、これイケメンでしか許されないプロだよ!! ワタクシこのプロ見て「いい!」と思ったのは、これは「タンゴ」の表現になっているのです。アルゼンチンタンゴの革命者であるピアソラを「タンゴ」として滑る際に「タンゴになっている!」と人に思わせるのは結構重要です。これは過去の日記を参照してくださると幸いです。
2シーズン前に「ポエタ」、昨シーズンに「フラメンコ」をフリーで踊ったケント君ですが、その際にきちんとダンスレッスンを受けたことで、何と言うのでしょうか、「踊りの下地」というのが出来たのだと思うんです。姿勢がいいので、ポーズがとても綺麗に映える。この「姿勢の良さ」というのはとても大事で、どんなに音感が良くて踊れる選手でも姿勢が悪いとそれだけでマイナスになります。そして、滑りながら猫背にならない。これが、踊る点でも滑る点でもとても重要な問題です。
たまに、滑りながら猫背になる選手がいますが(かなこちゃんも結構猫背ですよね)、ある意味それはジャッジに技術の拙さを見せることにもなっているのです。スケーティングのうまい選手は、「エースをねらえ!」のお蝶夫人のようにどんなポーズを切り取ってもとても綺麗なのです(これはノンフィクションライターの田村明子さんの談)。ジャッジに幼さを見せるのは、採点競技としてはよくありません。
そしてこの振り付け。宮本賢二さんの振り付けですが、何がいいって言うのは、ステップのときや技と技の繋ぎのとき、手がホールドする形になっているのです。
ミヤケンは今までもタンゴプロたくさん作ってきたけど、これは本当にいいんじゃないでしょうか!


フリー。

フリーはなんと、、、カミーユ・サン=サーンスの「交響曲第3番 オルガン付き」!
キターーーーーーーオルガン!!! クロサキはこのサン=サーンスの「オルガン」が大好きなのです!!
ネペラのときのも見たんですが今回改めてみて……、
お?
……おや!!?
おやおやおや!!!
結構、いい!!

近年ではアボット、安藤さんがこの「オルガン」使いましたが、これはワタクシの主観ですが、アボットが哲学的な雰囲気をかもし出していたのに対し、安藤さんは「オルガン」という曲が持っている「音」の迫力を出しているようにも見えました。
参考までに、安藤さんとアボットの「オルガン」をば。

アボットの「オルガン」
神! とした言いようのない完璧さです! 絶好調のときのアボットの凄いところって、ジャンプの着氷までも音にハマッているところです!!

安藤さんの「オルガン」
3シーズン前に「ジゼル」から「オルガン」へとプログラム変更しましたが、ぶっちゃけ「ジゼル」は同じシーズンに見た中野友加里さんの演技のほうがどうしても好きだったので、この変更はよかった、というか、こっちのほうがあってる
と思ったのを思い出します。
「本気の安藤さん」の演技は本当にかっこいい。
で、オルガンを滑った先輩方の演技について書いてしまっていますが、ケント君のは「丁寧」ですね。とても「丁寧」に滑っている印象があります。結構迫力のある曲なので、この丁寧さというのは割と貴重ですね! アボットも丁寧なんですが、アボットのは丁寧、というよりもとてもナチュラルな印象を受けます。
ただ、欲を言えば、もっとスピードが欲しい! スピードが入れば、丁寧だけじゃなくなるはず!!


そうそう、去年のTHE ICEとかで現地で中村健人くんを見てきた方の感想は「すっげー!めっちゃいけめんだった!」だそうですwwwしかしね、こうやって改めてケント君見てみると、「足長っ!」って驚いてしまいます。スタイルいいなー。なんか羽生君とは違うスタイルの良さだ。例えばはーにゃはどちらかというとジョニーとか初期プルさんですけど、ケント君はウル様とかアブトとか……足が長くてしっかりしていて、男性的な優雅さを持った……というと褒めすぎですかね? でもスタイル的にはウル様やアブト兄さんだよねぇ。 
ただ彼の難点として、自爆癖と、基本スピードが足りないんですよね。でもまぁ、自爆癖は何となく克服してきているような気がします。彼もステップが得意なオールラウンダー。これからどう変化していくのかが楽しみです。
ある意味新採点法にどっぷり漬かっているこれからの世代の特徴として、「ポテンシャルが高く」「音によって雰囲気が出せて」「且つ滑りながら踊ることが出来る」という。佐野稔さんが言うところの「滑って踊れる新人類」です。今の国際的な選手なら、リッポン、アモディオ、ブレジナ、ボロデュリンあたりからかな? ジュニアからずっと新採点の選手って。



頑張れ、全日本! 君の覚醒うれしいよ!!!