愛しさとせつなさと心強さと

ヨーロッパ選手権、終わりましたね。プルシェンコが7度目の優勝、2位同門のガチンスキー、3位にアモディオが入るとは思わなかったのでちょっと嬉しい悲鳴を上げたりもしましたが、とりあえずヨーロッパ選手権の全体的な感想は後でにします。
もう一人のロシア代表、例によってこの日記で贔屓しまくりのセルゲイ・ヴォロノフ君について書きます。


先ず言っておくのは、ここから先はワタクシの、純粋な感想であり主観であり、魂の叫びです。恐らく「違うんだよおおおお!」と思う方もいらっしゃると思います。あくまでワタクシの、考えですので、この記事を読まれる方とは違うかもしれません。それを踏まえた上で、叫びます。結構酷いというか手前勝手なことも書きますが、それはお前が部外者かつ手前勝手だから簡単に言えるんだろ、と言われましたらそれはそうです。
もう一個、ワタクシは男子シングルの、大体の選手が好きで、リスペクトしてます。(最近はリッキー、ロス君、マヨロフが個人的にいい!と思った)で、もうお分かりの方もいらっしゃると思いますが、その中でも、羽生結弦ジェレミー・アボットセルゲイ・ヴォロノフを特に絶賛応援中です。
そういうことを踏まえたうえで、お読みになってください。


さて、断りましたよ? じゃあ行きます。


……。あのですね。先ず、結論から言いますわ。
ヴォロ君の今季のプロ、SP「プリティ・リーグ」、FS「道化師」はね、
お世辞にも合っているとは言いがたいとワタクシは思います!


だけどこれはヴォロ君じゃなくて、振り付け師でありコーチであるニコライ・モロゾフに聞いてみたい。何でこのプロを与えたのかと。


ワタクシ、GPシリーズのロステレコムは家族と一緒にテレビで見てたんですけれどね、そのときヴォロ君の演技を見た家族がそろいもそろって「衣装センスが最悪」と酷評しました。特にフリー。
ワタクシはSPに関しては、まぁ野球映画だけどプログラムはしっかりとした「サッカー」というコンセプトとテーマがあって、それにのっとったものだと考えれば問題はあるけど理解は出来る。ジュベールのレンコンを超える衣装を、まさかヴォロ君で見るとは思わなかったけどね。
だけどフリーはですね、アダムや大ちゃんの使いまわしのような衣装ですよ。灰色ベースの衣装に何故か胸にハートマークっていうこのモロゾフの悪趣味な衣装ね(アダムと大ちゃんは紫ベースだった)。しかも、着こなしが一番野暮ったい! 大ちゃんのロミジュリの衣装だってお世辞にも合ってるとは言い難かったのに、何故もう一回、しかもよりにもよってヴォロ君で復活させたし!!
ワタクシ、アダムとヴォロ君の個性って、真逆だと思うんですわ。アダム・リッポン君の演技っていうのは「やわらかさ」が特徴で、ヴォロ君の演技っていうのは「硬質さ」なんだと思っています。アダムのやわらかさはモロゾフのあの衣装でも充分似合ってたけど(つか、あの衣装を着こなしてたアダムは凄いよ)、ヴォロ君の場合だとなーんか微妙っていうかはっきり「似合ってねぇ!」と叫びたくなる。100歩譲って髪の毛が長ければまだマシだったと思うんですけれど。(ちなみにワタクシ、アダム・リッポン選手は結構好きです)
つうか本当に、モロゾフについたとたんに衣装に問題が出るようになったのってどういうこと? お蔵入りにされた「ヴァイオリンとパーカッションの為の協奏曲」とか「ゴッドファーザー」とか「革命エチュード」とか、超似合うの着てたじゃないかあああああああ!!!

ゴッドファーザー


ヴァイオリンとパーカッションのための協奏曲


まぁまぁ、じゃあ衣装のことはとりあえずいいや。で、内容ね。
フリーなんだけどどうも、Jスポで藤森恵美子さんが駄目なモロプロの典型例として言ってたみたいですね。私はJスポは加入していないので、これは噂なんですけれど。つまり、後半5つのジャンプ構成だけが突出していて、つなぎがないから全体的に薄く見える。で、演技中とまることが多い。腕がブンブン肩から振り回される。……モロゾフプロの欠点といえばこれでしょうかね。
ワタクシ、このプログラム自体はそんなに悪くはないと思ってます。衣装はとんでもないけど。
ロステレや国内選手権で見た時、とにかく久しぶりにヴォロ君を見られたことと(大きい国際大会は棄権した10チャイナ以来)、何よりも顔が以前よりも明るくなったことと、復活してきたことがめっちゃ嬉しかったんです。技術的に見ればクワドとフリップ(エッジマークついてるけど)の復活、後半五つジャンプ、ステップのレベル3とか片足ステップとか、戻ってきた面がたくさんあったっていうのは収穫でした。
だけどこのユーロに来て見ると、フリーはなんかヴォロ君とプログラム自体がちぐはぐしている用に見えて、それがプログラム自体の欠点が見えてきてちょっとやるせなかったです。
ショートでもそれはあって。サッカーボールプロですが、これは同じモロゾフ門下生でも、アモディオがやった方が個人的には似合ってる気がしたなぁ。ってか、アモさんのほうがノリノリでやるはず! っていうのもありますし、そう思うと余計「あってねぇなー」と思っちゃうんですよ。ただ、これに関してはダンスレッスンや全部の要素がカッチリはまれば数段良くなる……と思う。
で、フリー。はっきり思った。FS「道化師」の、このプログラム自体はそんなに悪いものじゃない。でも、スケートファンがもう既に見飽きたようないい所も悪いところも全て詰まったモロゾフのプログラム、さらに、同じ音楽で同じテーマを今までのモロゾフ門下生は滑ってきているわけですよ。だからこのプログラムは、だしがらと言われてもおかしくないんじゃね?


で、さらに技術的な面はあまり突っ込みたくないけど、モロゾフについてからトリプルアクセルの前の助走が長くなった気がしてる。前も短いとはいえなかったけど、気になるほどじゃなかった。寧ろ、あの助走から生み出されるバカ高いアクセルジャンプが好きだったので。必ずしもジャンプの時に全部濃いトラジッションを入れなきゃならない、というものでもないと思う。アブト兄さんみたいに、長い助走すら美しく見えるときだってあるし。でワタクシは、特にトリプルアクセルの前の、前向きの「いっくぞー!」みたいな助走とか結構好きですから。(勿論ステップバリバリ踏んでのジャンプも大好き)でも、ちょっと、リンク半周はちょっと使いすぎじゃないかなと。
芸術点に関しては、PCSでもろに出てきちゃっているから本当にどうしようもないんだと思います。てーか、このプログラムにしたことにより、バンクーバーシーズン出るようになってきたPCSが帳消しにされているような気も、しなくもないんですワタクシ。そりゃ大会によって微妙に違ったりもするし、国際大会AとBでやっぱりPCSの出方ってちがいますから比べようもないんですけれども、ユニバや中国杯のSPでは7点台出たところもあったんです。で、今回フリーもSPもTRが5点台。CHもショートは5点台で、それを見た瞬間こう思いました。
だったらそのプログラムにする必要ないんじゃない?
ワタクシは去年のラフマニノフでいい! 去年のラフマニノフは良かったよ! 去年のラフマニノフが見たい! 俺は!
D
去年のラフマニノフ
ただ、PCSや技術面に関しては本人がインタで触れていたことのようなので、もう十分邪推ですがこれ以上は触れません。


最後に。
コレを最後まで読まれた方は本当にありがとうございます。ワタクシは自分のこの意見が正しいとは思ってはいませんが、間違っているとも思っていません。今季のSP・フリーは共に、ヴォロ君のよさを強調するようなものではない、それはニコライ・モロゾフコーチの指導や振り付けにあるのではないか、というのが個人的な感想です。師弟関係は悪くなさそうなので、だからこそこうなんというか、もっとこう、ねぇ!!
で、これは本当に最後に。何でワタクシがこんなことを書き始めてしまったというと、バンクーバーシーズンはもっといいもの滑ってたんだ! ワタクシはこのときを知っているんだ! 
そんなワタクシが出来る抵抗はこれだけです。
というわけで、バンクーバーシーズンのSP・フリーと、今季のSP・フリー4つを貼り付けておきます! 俺の思いを食らえーーーーーーーーー!!!!


09TEB「エチュードOp12−8 革命」


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