La’cryma Christi「Singles + Clips」

ヴィジュアル系バンドLa'cryma Christiの、KOJI在籍時までのシングル曲を集めたベスト盤。
ラクリマクリスティの経歴をざっくりとお話しますと、94年に結成し、97年にメジャーデビュー。05年にギターのKOJIが脱退し、以後4人で活動していたが、07年に惜しまれながら解散。09年に復活し、以後、たまに復活しては休止し復活してはライブを行っている。去年12年はデビューからちょうど15年周年だったので、東京を中心にツアーが行われましたね。
La'cryma Christiで一般的に知られている曲といえば「未来航路」「with−you」などのヒットした曲だろうか。
私は、La'cryma Christiの曲は「すべてが名曲。だが、ラクリマの本領が発揮されるのは、オリジナルアルバムとB面曲においてである」と認識している。
基本的にラクリマのオリジナルアルバムは、アルバム収録曲に粒のある曲がそろっている。1作目の「Sclupture of Time」での「Blueberry rain」、2作目「Lhasa」での「鳥になる日」「Zambara」、3作目「magic theater」での「Magic Theater」「イスラエル」「雪になって消えた二人」……等。カップリング曲の大体は収録されていませんし、シングル曲でさえ、オリジナルアルバムに収録されないことがままある。
だからこそこれは、ラクリマ初心者だけではなく、コアなラクリマファンにも勧めるアルバムだ。「ラクリマはB面曲に名曲がそろっている」という風に評する人がいるように、時としてラクリマのB面曲は、A面曲を食ってしまうような曲者曲や名曲だったりするからだ。
特に、00年から03年まで、ギターのKOJIの曲がB面に収録されており、このころからKOJIはB面で名曲を連発している。ヒット曲「未来航路」「Without you」等で見せた、ポップで明るい聴きなじみのあるラクリマクリスティの楽曲から一転して、「Down to EARTH」などのハードで重厚感のある楽曲を見せてくれている……と思いきや、「STAY…」のような切なくしみる曲も描いている。他のメンバーも負けておらず、「HIRAMEKI」のB面「Missing Picese」(ギターのHIRO作曲)は15周年記念ライブ、中野2DAYSの初日にも演奏され、客の反応を見てHIROが「よしっ!」とにやりとした一曲。
今はシングルは絶版状態(特に「Mystical Glider」は通販限定シングルだったため、のB面曲、「Drying heaven」「aminisum」は他のシングル曲以上に事実上手に入らないものである)。
しかし、A面曲はもちろん、個性のつぶがそろったB面曲を見逃すにはあまりにも惜しい。
アルバムだけしか聞いてない又は有名な曲しか知らない、という人はもちろん、15年ファンであるラクリママスターの方も、一聴の価値は十二分にあるアルバム。個人的にはハードロック路線に入ったラクリマの曲も聞いていただけると嬉しい。