ソチ五輪、日本男子のショートプログラム

全日本も終わり、各国ナショナルが終わり、五輪出場選手が発表されております。残すところは全米、カナダ。そして、ユーロ次第でロシアの出場選手が決定となります。
ロシア男子はほとんどコフトンで決定(いや、そこで私のセルゲイをと言いたいのだが……)でしょうが、私は女子が案外すんなり決まらないことを祈ります。レオノワちゃんがんばー。ゴージャスで素敵なレディになったアリョンカが見たいよワタクシは!!


さて。今季プログラム。
シーズン当初は「なんか五輪シーズンにしては気合の入ったプログラム少ない! 振り付け師やる気あんのか!!」と文句垂れ流しでしたが、やっぱりいいのがありますね。ジュベールのSP・FSとかめっちゃ素敵ですし、案外コフトン君のSPフラメンコがお気に入りです。りょーじゃの二つのギターもなかなかよろしおすな感じですし、アボットの「ピナ・バウシュ」が超ステキ!
特に私は日本男子6人の、ショートプログラムがお気に入りです。
そんなわけでー。
13年全日本、熱狂熱演ドラマティックなんて言葉じゃ足りない男子シングルを彩った、6人のショートプログラムを一挙紹介。
題して!「ソチシーズン、日本男子DEショートプログラム!」


羽生結弦「パリの散歩道」振り付け/ジェフリー・バトル

唯一去年からの続行。で、スケートカナダで見たときに「ちょっと慣れが逆にムーブメントの邪魔をしていないか」というか、振り付けになれたときのダレみたいなのを感じたのですが、大会を重ねるごとにと去年よりもブラッシュアップされていきましたね。ジェフはこれとパトリック・チャンの「エレジー」で振り付け師の地位も手に入れました。ローリー、ウィルソンに並ぶカナダの売れっ子振り付け師になるのも時間の問題なのではないでしょうか。
「ホワイトレジェンド」のようなしなやかさ、そして「ロミオ&ジュリエット」のほとばしる情熱とは一転。羽生君の新しい一面を切り出した名作です。


高橋大輔「ヴァイオリンのためのソナチネ」 振り付け/宮本賢二

もう鳥肌物の振り付け。大ちゃんは結構「暗い曲が好き。アメリのワルツみたいなのは、気持ちよく滑れる」と言っており、ミヤケンはこれまでエキシで、「海の上のピアニスト」「バチェラレット」「Luv Letter」など振付けているので、ミヤケンは実は大ちゃんの内面を一番とらえた振り付け師のような気がします。(アメリのワルツはランビエールの振り付けですが)
eyeを超える、ミヤケン×大ちゃん×日本人音楽の真骨頂。NHK杯の時はすごすぎましたわ。


織田信成「コットンクラブ」振り付け/デヴィッド・ウィルソン

ミヤケンが大ちゃんにぴったりの振り付けや選曲をしているなら、ウィルソンは織田君にぴったりの振り付けをされます。
私は「ウィリアム・テル序曲」も好きですが、より好きな方はコットンクラブですね。前者は織田君自身の明るい個性をとらえていますが、実は織田君が持っているスケートの質はどちらかていうとジャジーな感じだと思っているので。
本当に惜しい選考でした。引退されてしまってさびしいです。


○小塚嵩彦「アンスクエアダンス」振り付け/シェイリーン・ボーン

ずっと私は、大ちゃんの「マンボ」を見てから、「かなこちゃんがシェイリーンの振り付けって結構あうかもー」と思っていたのですが、どっこい。シェイリーンの振り付けはスケーティングの玄人者向きなのだ。もちろんかなちゃんが玄人ではない、と言っているのではないが、かなちゃんのスウィングメドレーがいまいちしっくりこなかったのは、本人が「ジャンピン・ジャック」と同じテイストで滑ろうとしているからではなかっただろうか。と勝手に想像。
閑話休題。スケーティングは玄人だけどイマイチ表現面が上がらない傾向(リストの時が最高だった)の小塚君でしたが、なかなかにどうして、玄人好みの作品を作ってきました。7拍子という変拍子をよく滑っていますね。お見事。
これを五輪で見たかったです。四大陸、頑張れ!


町田樹エデンの東」振り付け/フィリップ・ミルズ

アメリカン・バレエシアター出身のミルズですが、アシュリー・ワグナーの「ブラックスワン」で、一躍有名になりました。そして町田君はこの「エデンの東」の振り付けに1年間構想を練りましたというどこぞの文芸者のような発言をされています。
これを滑る時の町田君は「心が入りすぎ!」と突っ込んでしまうほどのめりこんでいます。今でこそ「哲学王子」なんていう異名が付きましたが、町田君がここまで上がってくるとは思っていませんでした。
才能はある、でも世界と戦うための「心」が弱かった。そんな町田樹選手をワンステップどころか3ステップ以上上に押し上げた大作。
ちなみに私の夢は読書好きだという町田くんとロシアのセリョージャ・ヴォロノフのインテリ対談を横から見ることです(何の話だ)。その中にペーターが入れば最高。


○無良嵩人「ミニーザムーチャー/ジャンピン・ジャック」振り付け/阿部奈々美

ここ数シーズン、SPはななみ先生に振り付けを注文しています。去年のむらげーにゃ(マラゲーニャのこと)は、「フラメンコのような、だけど闘牛士のような」プロで、ムラ君のいい意味での「清涼感のある男らしさ」を失わないものでした。
今季はそこから一転。個人的には踊り心のあるムラ君、というのはあんまり想像できなかったんですが、結構いいですねぇ。特に個人的には「ジャンピンジャック」のステップが好きです。
ななみ先生の振り付けのいいところは「駄作を作らない」ところ。彼女が宮本賢二と並ぶ日本が誇る名振り付け師になるのも、そう遠くはないと思っています。



さて、日本男子、主要6選手のSPをざっくりと紹介いたしましたがいかがでしたでしょうか。
こうやってまとめてみて今更気が付いたんですが、全員違う振り付け師なんですね。個人的にはSPをローリーに依頼しているのがひとりもいないのが驚きでした。その分大ちゃんと織田君がフリーを頼んでるけど。
全部を全部五輪で見たい、というのは無理なお話ですが、思うだけならいいですよね。名プログラムが多いソチシーズンの日本男子SP。本当に本当に、全部五輪で見たかった。
本当に素敵なので今一度、四大陸やソチが始まる前、おさらいしてみては如何?