S.ヴォロノフ、GPF出場を記念して振り返ってみる。

昨日NHK杯2014が終わりましたので、今季のGPシリーズが全て終了になります。五輪後で引退した選手も大勢いらっしゃったので、その後のGPシリーズは結構荒れたところは荒れたなぁ、というのが一つの感想でございます。特にNHK杯。なんというか、ダイスといいレオノワたんといいヴォロノフことりょーじゃといい、モロゾフから離れた選手がこぞって力を発揮しましたよね。
特に、失礼だけれど、ダイスこと村上大介選手の優勝は全く予想できなかったと言うか。でも、ジュニアの頃、それでこそモロゾフについていたころから将来を嘱望されていたのであって。……そういえば今回一緒に表彰台に登ったヴォロノフともかぶった大会が結構ありましたね。(06年世界ジュニア(アメリカ代表として)、11ユニバーシアード等)
そんなこんなでダイスの優勝をしみじみと、驚きもあり、嬉しくもあり、やっとそしてここからだ、と、感慨深いものとして見ていました。


ただ、個人的に一番燃えた、嬉しかったのはというのはセルゲイ・ヴォロノフの2大会連続表彰台&初GPファイナル決定!これが嬉しくない筈がない!!!
昨季からですか。ジャンプが抜けても、転倒や着氷のつまりがあっても、何だか安心してみていられるんです。去年のNHK杯も9位で最下位だったんですが、不本意な出来な中でもやることはやっていて、評価されるところが点に出てきてるなーと感じていたので。そこまで大崩れしなくなったっていうのが大きいのかな。バンクーバーのあたりから3年ぐらいは、ホントに、試合に出てきてくれるのだろうかと一種ハラハラした気持ちで見ていたので。
そんなわけで、GPファイナル進出記念として、ちょっと彼の演技を振り返ってみましょう。1シーズンに1つの演技でお送りいたします。


2009‐2010シーズン

織田君とライサチェックと一緒に台乗りしたカップオブチャイナでのエキシ。彼の「ロミオとジュリエット」はプログラムのバージョンが幾つかありますが、この「革命」の衣装でのロミジュリが私は一番好きです。すーっと入るイーグルとか、ステキじゃないですか。
このバンクーバーシーズンは、SPがスクリャービンの「革命のエチュード」で、FSが「シンドラーのリスト」。彼にとてもよく似合ったプログラムでした。ロシアナショナルは2位に入ったものの、ユーロでの結果から五輪は落選。出場したのはプルシェンコとボロデュリンでした。
本当に、今でも私はこの二つのプログラムがバンクーバー五輪で見たかったと思っています。特に「シンドラーのリスト」の完成形が見たかった。


2010‐2011シーズン

長年指導を仰いだアレクセイ・ウルマノフと袂を分かったりょーじゃが行きついたのは、安藤美姫を指導していたニコライ・モロゾフでした。アフターバンクーバーシーズンからモロゾフチームに入ります。そこで作った新しいプログラムはSP「ムーランルージュ」の「ロクサーヌのタンゴ」、FSはラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」で……って、おいおい、何処の高橋大輔だよ!と誰もが突っ込んだことでしょう。しかも振り付けはモロゾフ。おいおい、二番煎じかよと私がさらに突っ込みたくなったのは言うまでもない。まぁピアコンは1楽章じゃなくて3楽章だし(この辺はアブトリスペクトかなー?)、3楽章で滑ってくれるなんて超楽しみ……と中国杯を楽しみにしていたら、フリーの途中で棄権。テレビ放送はありませんでしたが、オンリザを見て自分の心臓が凍った音を聞きました。
このシーズンは最初から怪我に苦しめられた印象があります。その前に予定していたフィンランディアも欠場、中国杯は途中棄権、その後のエリック・ボンパールも棄権。
動画は復帰戦となったロシア国内戦でのフリー。オンリザに張り付いてその日のうちに動画を確認。4Tもなく、ルッツもフリップもないけれど、全ての要素を丁寧に、美しく滑った演技だと思います。


2011‐2012シーズン

このシーズンでGPシリーズの枠が一つの大会で12だったのが10になり、さらに去年のポイントが殆ど無いので、GPシリーズは地元のロステレコム杯だけの出場となりました。……確かこのロステレコム、すっごい私好みのメンツが集まった大会だったんだよなぁ。。(はにゅー、アボ、りょーじゃ、メンショフ、ミハル、トマシュもいたような等)
確かこのシーズンも序盤は怪我に苦しんでたんだよなぁ。。それでようやく大会で見られたのがロステレだったのですが……な、何だこの衣装は!!
どう見てもサッカーボールじゃないか!(ちなみに私の身内はこれを見て「オシャレじゃん!」と擁護していた)
いやね、当時の日記でも突っ込んでたんだけど、これさ……本人が考えたんじゃないよね? ていうか、本人は考えないよね? どう考えてもモロゾフが原因であります。
まぁ、、方向性に悩んでたり評価が上がらない選手に、違う斬新なプログラムを滑らせる、というのは分からないでもないです。モロゾフだって、レオベールに「熊蜂の飛行」をやらせたり、高橋にヒップホップ白鳥をやらせたりしてたもんね。
でもこのサッカーボールは考えてなかったわ。この感覚に常人が追いつくにはあと20年は早かったよ……。しかも曲は「プリティ・リーグ」。……野球映画でございます。
ちなみにこの時のフリーは道化師。昔振り付けモロゾフでアダムが滑ってましたね。つまり、見慣れたモロゾフのプログラムでした。
このサッカーボールプロはシーズン終盤になって変更。変えたプログラムはかのアレクサンドル・アブトが滑った「アルメニアン・ラプソディー」でした。こっちをもっと見たかったよ!


2012‐2013

サッカーボール、アブトリスペクトプログラム、二番煎じ道化師と続き、次のシーズンに持ってきたプログラムはSP「ロシア水兵の踊り」で、FSが「ロミオとジュリエット」でした。……多分ロミジュリのプログラムパターンは、羽生君よりも多いと思われます。衣装は4つバージョンがあります。(革命、ラフマニ2番、ウル様袖、アルメニアンの衣装でロミジュリを滑っている)
ユーロとワールドに出場したからか、一応GPシリーズは2大会にエントリー。中国杯NHK杯で、この時シニアのGPシリーズで初めて日本に来てくれました。(ジュニアの頃は一回ぐらいあったよね?)
3年ぶりのGPでの表彰台。3年前の、中国のエキシビションで滑った「ロミオとジュリエット」を思い出さずにはいられませんでした。あの時よりも精悍になっていました。


2013−2014

チームモロゾフから離れ、彼が新しく付いたコーチは、ユリア・リプニツカヤを指導するエテリ・トゥトベリゼ。彼女についてからスケーティングが目を見張るほどよくなり、そして何よりも!
………数シーズン外していたトリプルルッツを戻してきたんです!!
いや、ジュニアの頃、それでこそ小塚君が優勝したジュニアワールドでは3回転のルッツ飛んでたんですが、長年の怪我の影響でルッツが入れられ(ちなみにフリップを跳ぶと!が付く泣)なかったんですが。……これはもう、彼のルッツを戻してくれたエテリ先生、スケートの神様を拝まずにはいられないわけです。
動画はユーロでの初表彰台を飾った演技。ピアソラの「友に捧ぐ」、「ボナ・ウル・カベサ」、「タンゲーラ」をつなげたタンゴプロ。これを初めて見たとき、微妙に苦笑してしまいました。6年前もピアソラのタンゴやってたんですよね。それについては過去散々書いたので省きます。このタンゴの印象は、まぁ、前と変わっておりません。
タンゲーラの部分のコレオがみなぎってて素敵です。


2014−2015

ユーロ2位の結果から、GPシリーズのロステレコム杯はロシアの1番手として出場。これはちょっと意外でした。ワールド4位の結果からコフトンを持ってくるかなぁと思っていたので。でも表彰台に上がったならユーロ2位を1番手に置くか。
ネーベルホルン、フィンランディアときてのロステレコムでした。SPはとにかく素晴らしい!素晴らしい!語彙が貧困だけどとにかく素晴らしい!この時解説の織田君が「こんなにいいヴォロノフ選手の演技は初めて見ました」っておっしゃっていましたね。
振り付けはズーリン。振り付けがモロゾフアベルブフ→ズーリンときて、どんどんクドい(褒めてます)ロシアんな振り付けになって行って最高です。
ただ、一回りょーじゃに関してはディクソンの振り付けで見てみたいなぁと思うのですが如何でしょうか。


……とまぁ、ここまでヴォロノフ選手の滑りを振り返ってみたんですが、バンクーバーから早いもので4年が経ち、本当にもう、色々あったなぁと思うのです。敗血症(これはバンクーバーの前ですね)、五輪落選(しかも割と経緯が最悪)、ウル様との決別、おいでませチームモロゾフ、怪我、途中棄権、ほぼポイントゼロ、再び怪我(シーズン序盤で苦しむパターンが多かった)、ジャンプが決まっても上がらないPCS、衝撃のサッカーヴォーロ、そしてソチシーズンでの再びの五輪落選しかし初ユーロ表彰台に現役続行で現在に至るわけですが。
本当にアスリートにとっての怪我は引退と隣り合わせなのだと思わされます。りょーじゃにしても例外ではなく、「僕は僕の競技生活を終えなければいけないと思いました。」と考えてしまうような怪我に合っています。その中でも滑り続けたのが、ファンとしてもとても嬉しく思うのです。
もう少し、もう少し長く見ていたいと思いながら4年経ち、それが今も続行しています。正直言って、「GPF出場おめでとう!」なんていう日が来るなんて、失礼ですがまったく想像していませんでした。


次はバルセロナでのGPファイナルです。もっと素敵になったりょーじゃが、私は見たいです!