どうしてあれだけ金妍児が評価されたか 2


金妍児選手が評価されたものを考えてみる、第二回。
第二回は彼女のもつスケーティングスキルについて、です。


○ヨナちゃんが評価されたSSというものを改めて考えてみる。
※これはわたくしの意見なので、注意をしてみてください。

さて、こないだ世界選手権で銅メダルに入った羽生結弦君。12−13シーズンからブライアン・オーサーに師事する彼が、今後何が課題かと言われれば、それは体力とSS、スケーティング技術でしょう。ですが、「スケーティングや体力を課題とする人物がオーサーに師事?」と疑問視する声もチラチラと聞きます。
そこで登場するのがかつてオーサーコーチに師事していたヨナちゃんです。


オーサーが指導したヨナちゃんも、08−09シーズンからコンスタントにSSで8点台を貰っています。ジャッジはヨナから金貰ってんだろーとかいう人もいますが、ここはヨナちゃんという存在を出来る限りポジティブに考える場なので、「不正」「八百長ジャッジ」「ほめる人は無理してほめてる」という単語は禁句です。


ヨナちゃんのSSで特に評価されているのは、スピード。稔やあらかーさんも絶賛していましたね。スピスケじゃないんだぜ、と思われる方。スピードはSSで重要な一つですよ!旧採点時代でいえば、イリヤ・クーリックの爆走ロミオなんかがあったじゃないですか。滅茶苦茶早いスピードとともに生まれていく豪快ジャンプ。彼はセカンドマークが高い選手でもありました。
ブリザードアクセル」でスケーティング技術に対して書かれていた記述は、「スピードが出せる、ということは、きちんとコントロールする力もあるそれは芸術点にもつながっていく」ということでした。スピードが出ると失敗するリスクも高く、それでミスがない、ということはスケーティングが高い証ですね。それはクーリックの爆走ロミオで表されています。
女子でスピードが評価された選手は、今でいえばコストナー、ちょっと前でいえば村主章枝さんでしょう。すぐりさんの絶好調の時は気持ちのいいぐらいスピードが出ていましたし、またSSも高く評価されていました。トップスピードが出た時の気持ちのよさ、という点ではセベスチェンにもありましたかね。
こうしてみるとヨナちゃんとぐりさんは結構似たようなスケーターかなと思います。スピードが出るスケーティング、ループが苦手(というかほとんど飛べない)、表現力に定評がある、という定評とか(苦笑)。


ですが……
こう見てみると、ヨナちゃんという選手は確かにスピードはある。
が、それ以上にすぐりさんにはない、力を感じるのです。ぐりさんのスケーティングはスピードから生まれる軽やかさ、というのを個人的には感じますが、ヨナちゃんにはそれがない。力んでいる、と言えばそれまでかもしれませんが、どちらかっていうとダイナミズムのほうが感じます。
スピードがあり(ぐりさんほどではないかもしれませんが)かつパワーがあり、ダイナミズムを感じるスケーティング、といえば、ワタクシ個人的に真っ先に出てくるのが、

アレクセイ・ヤグディン
ブライアン・ジュベール
女子ではイリーナ・スルツカヤ

今の主流でいう、つるつると滑るきれいなスケーティング、たとえば昔でいえばウルマノフやエルドリッジ、今でいうとPちゃん、小塚、アボット、高橋なんかのスケーティングとはちょっと違いますよね。ですが彼ら彼女もスケーティング技術が評価されていないわけではないんです。特にジュベールスルツカヤは欠点欠点と言われがちですが、意外に高評価されているんです。絶好調のスルツカヤのSSは8点台出てましたし、ジュベールもあんまり調子のよくなかった12ユーロでスケーティングスキルは8点台出してましたよね。
もちろん大会によってそれぞれPCSの出る指標は違いますので、大会ごとに比べたりするのは間違いです。ですが、力量だってスケーティングを評価する重要なものの一つのはずです。


要するに、超ポジティブに考えると、
ぐりさんのスピードと、
ジュベールヤグディンの勢いやパワーを持ち、
一種のダイナミズムを生み出した。


これが合わさり、ヨナちゃんのスケーティングが評価されたのだと!!
正直女子であの力が出せるのは稀っていうか。ねぇ。


体力とスケーティングが課題の羽生君ですが、同じ欠点を持っていたヨナちゃん(特に体力)に曲りなりもそれを克服させたので、オーサーはもしかして今の羽生君にはうってつけのコーチなのかもしれません。
(※あくまでポジティブに考えよう、という意見なので、これは「ちげえよおおおお!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。そこで怒らないで頂けると幸いです)