國松竜次「プレイズ・ピアソラ」

CDレビューです。
松竜次さんというクラシックギタリストがいらっしゃいます。京都を拠点に音楽活動をしていますが、12月にアストル・ピアソラの作品集を発売されました。

レコード芸術の1月特選盤に選ばれた一枚。
まず「ギター一本でピアソラの音楽を表現しようとした」というのがすごいと個人的に思います。アストル・ピアソラ、という作曲家はアルゼンチンタンゴの革命児と言われており、タンゴのリズムの中に、個人的には新鮮な現代性とクラシカルな部分が融合しているように思います。そんな彼の音楽は、メロディーにうねりがあり、そしてバンドネオンの音色が彼の旋律をより一層際立たせるものだと思っています。
バンドネオンといったら、音が伸びる。だけど明快なリズムも同時に表現しやすい楽器でもあります。つまりタンゴの音です。音色的にはギターと相反するものだと思っています。だから「ギター一本でピアソラを表現した」というのがすごいと思ったのです。
もう一つ個人的に考えるに。前の日記でも書きましたが、國松さんのギターの最大の魅力、というのは、一音一音の持つ音のクリアさ。このピアソラのCDでも、その魅力は如何なく発揮されている部分であると思います。
ただ。


個人的には、彼の弾く「アディオス・ノニーノ」が聞いてみたい、と思うのは高望みなんでしょうかね。後、四季の編曲が本人じゃないからか、どうも本人が持つ音ともちょっとかみ合ってない印象を受けました。ですが、素晴らしいといえば素晴らしいです。(特に「冬」と「秋」)
そんなわけで、バンドネオンやピアノの音色じゃない、「結構異色な」ピアソラもたまには如何。また、「ブエノスアイレスの四季」のギターによる通し録音は非常に貴重であるとも明記しておきます。
編曲は、「ブエノス・アイレスの四季」の4曲はセルジオ・アサド編。その他編曲は國松編。
個人的におすすめは「ナイトクラブ1960」、「チキリン・デ・バチン」、「ワルツ風の詩」、「エスクアロ」の4曲。


「ナイトクラブ1960」